- 『北面設置の是非について』 2010.12.21
- 『国際太陽電池展PV EXPO 2010を見て』 2010.04.05
- 『最近の日射量の傾向について』 2010.02.25
- 『東向き屋根と西向き屋根の発電量シミュレーションの非対称性について』 2009.11.24
- 『太陽光発電の訪問販売トラブル急増について』 2009.10.14
- 『太陽光発電の稼働率はどれくらい? ~ 日射量の季節変化、経年変化について ~』 2009.09.16
- 『雲をつかむ Solarfactory のシミュレーションについてのご紹介』 2009.07.06
『北面設置の是非について』
2010.12.21
以前にこのコラムでも書きましたが、太陽光発電を設置するには南向きの屋根の上が望ましいです。最初から太陽光発電を設置することを想定して家を新築するのであれば、真南に近い向きに設置できるように考慮して設計するべきでしょう。しかし既築の家の場合は様々な制約条件から必ずしも南面に設置できるとは限りません。また南面に設置できたとしても、せっかくだから北面のスペースも有効活用して、できるだけパネルの設置枚数を増やしたいと考える方もいらっしゃるでしょう。実際、北面設置の要望は多くなってきているそうです。
ところが、北面設置を要望しながらも、販売店や施工業者に反対されたり、前向きに対応してくれなかったりといった経験をお持ちの方も多いのではないかと思います。一般的に太陽光発電設置において、北面設置はお勧めしませんと断るようにしているところも多いようです。
南面を100%としたときに、北面の発電量は66%となるとよく言われています。南面と同じ枚数の太陽電池を北面にも設置すると、費用は倍になりますが、発電量は1.66倍にしかならず、費用対効果は落ちてしまいます。この「66%」という数字の根拠がどこから来ているのか、出典を調べてみました。
| 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年間 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 大阪 | 29 | 43 | 59 | 77 | 91 | 98 | 96 | 83 | 69 | 48 | 32 | 25 | 66 |
| 東京 | 22 | 39 | 57 | 77 | 91 | 97 | 95 | 83 | 72 | 52 | 33 | 21 | 63 |
| 小国 | 71 | 71 | 70 | 77 | 89 | 95 | 93 | 82 | 72 | 59 | 58 | 68 | 79 |
| 釧路 | 19 | 25 | 45 | 68 | 84 | 91 | 90 | 79 | 60 | 33 | 19 | 17 | 55 |
NEDO全国日射量平年値データマップと呼ばれるものがあります。多くの販売会社や施工業者が使っているシミュレーションで基になっている日射量データです。このデータから一部の地域の日射量を抜粋し、傾斜30度 真南の日射量と、同じく傾斜30度 真北の日射量の比を求めたものを上表に記載してみました。この表で、大阪の年間での真南と真北の日射量の比が66%となっています。この数字が根拠として一般的に使われることが多いようです。なぜ大阪のものが使われることが多いかというと、シャープや三洋など主な太陽光発電モジュールメーカーが大阪の会社であるためだと思われます。
表の地域毎に違いを見ればわかるように、地域によって北面と南面の比は変わり、東京では63%、大きいところだと小国(山形県)の79%、小さいところでは釧路(北海道)の55%となっています。79%だとかなり許容範囲に入ってきているという見方もできそうです。
また同じ地域でも、季節によって比は変わり、夏は90%以上で北面であってもかなり日射量が大きく、発電量ロスも少ないのですが、冬では30 %以下になるところも多くあり、北面での発電量がかなり小さくなってしまいます。
さらに、この表の数字は屋根の勾配が30度のときのものになっていますが、勾配が低く、水平面に近くなればこの比率はもっと大きくなり、80%を超えるところもあります。
確かに北面に太陽光発電を設置すると、全体の発電効率が落ち、コストパフォーマンスは下がりますが、それが許容できる範囲内なのかどうかは、地域や屋根の状況、消費者の考え方次第です。一概に北面設置を否定するのではなく、まずはちゃんとシミュレーションをしてみる(あるいは業者にさせてみる)ことです。計算に必要なデータは公開されていますので。
さらにいえば、北面設置をすることにより総発電量は増えますので、温暖化ガス削減など環境効果は高まりますし、夏場はほぼ南面と同等に発電するため、ピークカットなどメリットもあります。消費者に対してきちんと情報が開示され、メリットもデメリットも合わせて理解した上で、最終的に消費者が良しとするのであれば、北面設置もアリでしょう。
ただし、売りたいがために強硬に北面設置を勧める業者がいたとしたら、それはそれで問題ですので注意してください。




